民法の判例から

ケース(15):被用者への求償
【事実関係】

 会社Xは、石油やプロパンガスなどの危険物を運送する業務を行っていた。Yは、会社Xで運転手として働いていた。Yは普通、小型貨物自動車を運転する仕事を行っていて、Yの勤務成績は、きわめて良かった。ある日、会社の特別の命令で、Yは大型タンクローリーを運転することになった。慣れない大型車を運転したため、前を走る車との車間距離を十分にとらなかった。突然、前の車が急に停車した。Yは慌ててブレーキを踏んだが間に合わず、追突してしまった。前の車が破損し、また、タンクローリーも損害を受けた。この交通事故の原因について、警察は、Yに過失があったと判断した。

 ところが、会社Xは、会社が所有する自動車に対人賠償責任保険だけをかけていて、対物賠償責任保険にも、車両保険にも加入していなかった。このため会社Xは、破損した車の所有者であるAに、その損害の全額を支払わなければならなかった。それだけでなく、タンクローリーの修理のためにも、会社Xは費用を支払わなければならなかった。

 そこで会社Xは、民法第715条第3項の求償権に基づき、Aに支払った賠償金に、タンクローリーの修理費を加えた額の支払いをYに請求して、提訴した。

 第一審で裁判所は「Xの請求は、四分の一を超える部分については、信義則に反していて不公平であり、権利の濫用である」と判決した。Xは控訴したが、控訴審裁判所も第一審判決を支持して、控訴を棄却した。そこでXは上告した。

【判旨】

  最高裁判所もまた、第一審判決を支持して次のように論じた:「被用者が、使用者の事業を執行している際に不法行為を犯したために、第三者に損害が及び、そのために使用者がその損害賠償責任を負担した場合、または自分が損害を被った場合には、その損害は、使用者と被用者との間で公平に分担されるべきである。したがって使用者は、被用者に対して求償の請求または損害賠償の請求をすることができるが、その範囲は、信義則に基づいて『相当』と認められる程度に限られる」。そして、その「公平な分担」を定めるためには「事業の性格、被用者の職務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様など、諸般の事情を考慮しなければならない。その際、加害行為の予防ならびに保険による損害の分散について、使用者がどの程度、配慮していたかという点も、そうした事情に含まれる」と判断した。

【関連条文】

(使用者等の責任)⇄ มาตรา ๔๒๖, ๔๒๗

民法第715条; ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

② 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

③ 前2項の規定は、使用者または監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

มาตรา ๔๒๖

นายจ้างต้องร่วมกันรับผิดกับลูกจ้างในผลแห่งละเมิด ซึ่งลูกจ้างได้กระทำไปในทางการที่จ้างนั้น

มาตรา ๔๒๗

นายจ้างซึ่งได้ใช้ค่าสินไหมทดแทนให้แก่บุคคลภายนอกเพื่อละเมิดอันลูกจ้างได้ทำนั้น ชอบที่จะได้ชดใช้จากลูกจ้างนั้น

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