民法の判例から

ケース(5):動機の錯誤
【事実関係】

 被告Yは、雌の競争馬を所有していた。あるときYは、原告Xに対して「この馬は13歳で、血統がとても良いので、もし妊娠したら、その子どももとても良い競争馬になるだろう」と話した。Xは、このYの話を信じた。その後、YがXに「この馬が妊娠している」と話したので、Xは、Yからこの馬を購入した。

 ところが、この馬は本当は妊娠していなかった。このため、Xは「Yは自分に嘘をついて、詐欺をはたらいた。私は、Yにだまされて、契約の重要な部分(要素)について錯誤に陥いり、この馬を買ってしまった。だからこの売買契約は、民法第95条にしたがって無効である」と主張した。そして、Yに対して売買代金の返還と損害の賠償を求めて、訴訟を提起した。

 第一審でYは、「馬が妊娠しているかどうかという点は、馬を買うことを決めた動機に過ぎない。動機は、法律行為の重要な部分(要素)ではなく、単にその背景に過ぎないから、その動機に錯誤があっても、売買契約自体が無効となる訳ではない」と反論した。

 第一審も控訴審も、Yの話しが詐欺であるとは認めなかったが、要素の錯誤についてはXの主張を認めて、売買契約を無効と判断した。このため、Yは上告した。

【判旨】

 意思表示の直接の内容でなく、その動機に錯誤があった場合について、最高裁判所は次のように判断した:「馬が妊娠しているかどいうかは、馬の性状に関することである。物の性状に関する錯誤は、動機の錯誤である。日本民法には、ドイツ民法第119条のような規定はない。したがって、単に動機に錯誤があるだけでは、意思表示が無効となる訳ではない。しかし、表意者がその動機を意思表示の内容に含めていて、しかも、その性状がそのような意思表示にとって本質的であると通常は考えられており、もしその性状が存在しない場合にはそのような意思表示はしなかっただろうと認められる場合には、その性状は、当該意思表示の要素を成すと認められる」。本件では、「この馬は妊娠している」という誤った認識が意思表示にも含められていて、Yもそのことを知っていた。また、競走馬の取引において「妊娠しているかどうか」は、本質的な点である。「この馬は妊娠していない」という事実をXが正しく認識していたら、本件の売買契約は締結していなかっただろう。そこで最高裁判所は、「本件売買契約を無効と判断した原審の判決は、正当である」と判断し、Yの上告を棄却した。

【関連条文】

(錯誤)⇄ มาตรา ๑๕๖, ๑๕๗

民法第95条; 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

มาตรา ๑๕๖

การแสดงเจตนาโดยสำคัญผิดในสิ่งซึ่งเป็นสาระสำคัญแห่งนิติกรรมเป็นโมฆะ

ความสำคัญผิดในสิ่งซึ่งเป็นสาระสำคัญแห่งนิติกรรมตามวรรคหนึ่ง ได้แก่ ความสำคัญผิดในลักษณะของนิติกรรม ความสำคัญผิดในตัวบุคคลซึ่งเป็นคู่กรณีแห่งนิติกรรม และความสำคัญผิดในทรัพย์สินซึ่งเป็นวัตถุแห่งนิติกรรม เป็นต้น

มาตรา ๑๕๗

การแสดงเจตนาโดยสำคัญผิดในคุณสมบัติของบุคคลหรือทรัพย์สินเป็นโมฆียะ

ความสำคัญผิดตามวรรคหนึ่ง ต้องเป็นความสำคัญผิดในคุณสมบัติ ซึ่งตามปกติถือว่าเป็นสาระสำคัญ ซึ่งหากมิได้มีความสำคัญผิดดังกล่าว การอันเป็นโมฆียะนั้นคงจะมิได้กระทำขึ้น

《参考》

German Civil Code, Book I: General Principles

Section 119 (Voidability for mistake)

(1) A person who, when making a declaration of intent, was mistaken about its contents or had no intention whatsoever of making a declaration with this content, may avoid the declaration if it is to be assumed that he would not have made the declaration with knowledge of the factual position and with a sensible understanding of the case.

(2) A mistake about such characteristics of a person or a thing as are customarily regarded as essential is also regarded as a mistake about the content of the declaration.

(1) ある意思表示を行った者が、その内容を誤解していた場合、またはそのような意思表示を行うつもりが全くなかった場合において、もし表意者が事実を正しく認識し、事情を合理的に判断していたら、そのような意思表示は行わなかっただろうと認められるときは、表意者は、その意思表示を取消すことができる。

(2) ある人物やある物の性状に関する誤解であっても、もしその性状が、通常、本質的とみなされている場合には、これを意思表示の内容に関する誤解とみなす。

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