民法の判例から

ケース(3):代理人の権限濫用
【事実関係と判旨】

 会社Yは、菓子の製造機器や原料などを販売していた。Aは、この会社で働いていて、菓子の原料を仕入れる仕事をしていた。会社Bは、Yの取引先だった。Aは、Bと親しくなって、Bを助けるようになった。ある時、BはAに、Yの名義で会社 Xから練乳を買ってくれるように、お願いした。そしてBは、先日付小切手を振り出してAに渡し、売買代金として渡すようにお願いした。Aは、Bの希望どおりに、Yの名義でXから練乳を買い、Bから受け取った小切手に裏書きして、Xに交付した。つまり、この取引の外形だけを見ると、YがXから練乳を買い、その代金として、Yが自分で小切手を振り出したように見えた。

 ところが、この小切手が不渡りとなった。そこでXは、小切手に裏書したYに、練乳代金の支払いを請求して訴訟を提起した。

 第一審でXは、「この売買契約は、Aの権限内の取引であるから、有効である」と主張した。これに対してYは、「この売買契約は、Aが勝手にBの利益のために結んだものだから、Aは自分の権限を超えて行為している。しかも、Xはこの事情を知っていた。だから、この売買契約は無効である」と主張した。

 第一審は、この事件に民法第93条を適用した。この条文は「たとえ偽りの意思表示でも、それを信じた相手方や第三者を保護するために、それを有効とする」という原則を定めたものである。しかし、その但書きは「ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする」と定めている。これは、「信義誠実の原則」に従ったルールである。

 ところで本件の契約は、本人であるYにとっては、代理人のAがXと勝手に結んだものであって、自分の意思に基づくものではなかったから「偽りの契約」であるが、Xにとっては、Yの本当の意思を知ることは難しいから、Yに「本当の意思に基づかないから、この契約は無効だ」と主張されると、取引ができなくなってしまう。このため、通常は本件のような契約でも有効だと判断される。しかしながら本件の場合、相手方であるXがこの契約がY本人の意思に基づかず、偽りのものであることを十分に承知していたから、裁判所は、「信義誠実の原則」に反するため、この契約を無効と考えるべきだと判断した。そして、第93条但書を「類推適用」して、Xの請求を棄却した。

 これに対してXは控訴したが、控訴審もそれを棄却した。Xはさらに上告したが、最高裁判所もまた、第一審、控訴審と同じ理由で、Xの上告を棄却した。

【関連条文】

(心裡留保)⇄ มาตรา ๑๕๔

民法第九十三条; 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

มาตรา ๑๕๔

การแสดงเจตนาใดแม้ในใจจริงผู้แสดงจะมิได้เจตนาให้ตนต้องผูกพันตามที่ได้แสดงออกมาก็ตาม หาเป็นมูลเหตุให้การแสดงเจตนานั้นเป็นโมฆะไม่ เว้นแต่คู่กรณีอีกฝ่ายหนึ่งจะได้รู้ถึงเจตนาอันซ่อนอยู่ในใจของผู้แสดงนั้น

民法第百九条【1896~2004年】; 第三者ニ對シテ他人ニ代理權ヲ與エタル旨ヲ表示為シタル者ハ其代理權ノ範囲内ニ於テ其他人ト第三者トノ間ニ為シタル行為ニ附キ其責ニ任ス

(代理権授与の表示による表見代理)⇄ มาตรา ๘๒๑

民法第百九条【2004年~】; 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない

(権限外の行為の表見代理)⇄ มาตรา ๘๒๒

民法第百十条【2004年~】; 前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

มาตรา ๘๒๑

บุคคลผู้ใดเชิดบุคคลอีกคนหนึ่งออกแสดงเป็นตัวแทนของตนก็ดี รู้แล้วยอมให้บุคคลอีกคนหนึ่งเชิดตัวเขาเองออกแสดงเป็นตัวแทนของตนก็ดี ท่านว่าบุคคลผู้นั้นจะต้องรับผิดต่อบุคคลภายนอกผู้สุจริตเสมือนว่าบุคคลอีกคนหนึ่งนั้นเป็นตัวแทนของตน

มาตรา ๘๒๒

ถ้าตัวแทนทำการอันใดเกินอำนาจตัวแทน แต่ทางปฏิบัติของตัวการทำให้บุคคลภายนอกมีมูลเหตุอันสมควรจะเชื่อว่าการอันนั้นอยู่ภายในขอบอำนาจของตัวแทนไซร้ท่านให้ใช้บทบัญญัติมาตราก่อนนี้เป็นบทบังคับ แล้วแต่กรณี

【解説】

 日本民法第109条にはもともと、但書がなかった。したがって、代理人がその代理権の範囲内で行った行為は、たとえそれが嘘の代理行為(表見代理)であっても、有効と判断された。「取引の安全」を守るためである。しかし、それが不条理(不合理)であることもある。本件の場合もそうである。そこで裁判所は、第93条但書を類推適用して、この不合理を回避した。その後、平成16年(2004年)の民法改正によって、第109条但書が追加されることになった。

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