△ 原告の立証責任:不法行為責任の場合
それでは、不法行為責任(tort liability)はどうでしょうか。この場合、契約責任の場合と比べると、原告の立証責任はずっと厳しくなります。
まず、どのような状況で不法行為が問題となるか、それを考えてみます。たとえば、AさんがBさんに「自転車に乗って、競争をしよう!」と言いました。Bさんも「おもしろい、やろう!」と言って、二人は走り始めました。ところが、Bさんの自転車のブレーキが壊れていため、Bさんは転んでケガをしました。これは、Aさんの不法行為でしょうか? 次のような3つのケースを比べてください:
➀ AさんもBさんも、自分の自転車を使った。
➁ Bさんは自転車を持っていなかった。Aさんは自転車を2台もっていたので、1台をBさんに貸した。しかし、その自転車のブレーキが故障していた。
➂ ケース➁と同じく、AさんがBさんに自転車を貸した。そのときに、Aさんはその自転車のブレーキを故意に壊した。
さて、どのケースで「不法行為」が問題となるでしょうか。「不法行為」が問題となるのは、Aさんの行為(作為または不作為)が原因となって、Bさんの権利または重要な利益が侵害された場合です。これを「違法性」と呼びます。
まずケース➀を考えます。この場合、Aさんの行為とは「Bさんを自転車競争に誘ったこと」だけです。しかし、Bさんは「Aさんが自分を自転車競争に誘ったから、自分はケガをしてしまった」と主張することができるでしょうか? う〜ん、これはちょっと無理ですね。したがってケース➀では「不法行為」は問題とならないでしょう。
ケース➂はどうでしょうか? 「故意にブレーキを壊した」というAさんの行為は、Bさんを深刻な危険に晒す行為ですから、刑法上の「犯罪」となり得ます。したがって、それはBさんの民法上の「権利または重要な利益を侵害する」行為でもあり、当然に「不法行為」も問題になります。
最後に、ケース➁では、不法行為責任が発生する場合と、発生しない場合があります。たとえばBさんが「Aさんが自転車の安全性に注意していなかったから、自分はケガをしてしまった」と主張できるなら、それは「不法行為」となり得ます。つまり、Aさんが「注意義務に違反した(breach of duty of care)」ときに、不法行為責任が発生します。これを民法上の「過失」と呼びます。
さらに、もう一つの要件があります。それは「Aさんの注意義務違反が原因で、自転車のブレーキが故障していることにAさんが気が付かなかった、または気がついたのに、何もしなかったこと」、そして「ブレーキが故障していたことが原因で、Bさんが転んでケガをしたこと」です。つまり「Bさん自身や他の人には責任がないこと」です。これを「因果性」または「因果関係」と呼びます。つまり、Aさんの「過失」と、Bさんの「権利または重要な利益の侵害」とを結ぶ「原因と結果」の関係です。
そして、もう一つの要件があります。それは、権利または重要な利益の侵害が原因となって、「Bさんが実際に経済的または精神的な損失を被った」ということです。これが「損害」です。「権利または重要な利益の侵害」と「損害」の間には、「原因と結果」の関係がありますから、ここで2つ目の「因果性」が問題となります。この2つ目の因果性では、Aさんがどのくらい損害賠償を支払わなければならないか、という点が問題となります。そのため、この要件は「損害 の範囲」の問題と呼ばれます。これは、契約責任の場合の「因果関係」と同じです。
以上のことをまとめると、Aさんの不法行為責任は、次のような要件が立証されたときに、発生します:
1. 違法性:AさんがBさんの権利または重要な利益を侵害したこと。
2. 過失:Aさんが注意義務に違反したこと。
3. 因果性:Aさんの注意義務違反が原因で、権利または重要な利益の侵害が生じたこと。
4. 損害:Bさんが実際に経済的または精神的な損失を被ったこと。
5. 因果性(損害の範囲):権利または重要な利益の侵害が原因で、その損害が生じたこと。
不法行為の事件では、これらのポイントのすべてを原告が立証しなければなりません。特に、過失と、その過失と違法性との因果関係の立証が一番難しいポイントです。
△ 日本民法の条文
第五章 不法行為
Chapter V Torts
(不法行為による損害賠償)
(Damages in Torts)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
Article 709 A person who has intentionally or negligently infringed any right of others, or legally protected interest of others, shall be liable to compensate any damages resulting in consequence.
(財産以外の損害の賠償)
(Compensation for Damages Other than Property)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
Article 710 Persons liable for damages under the provisions of the preceding Article must also compensate for damages other than those to property, regardless of whether the body, liberty or reputation of others have been infringed, or property rights of others have been infringed.
△ タイ民商法の条文
มาตรา ๔๒๐
ผู้ใดจงใจหรือประมาทเลินเล่อ ทำต่อบุคคลอื่นโดยผิดกฎหมายให้เขาเสียหายถึงแก่ชีวิตก็ดี แก่ร่างกายก็ดี อนามัยก็ดี เสรีภาพก็ดี ทรัพย์สินหรือสิทธิอย่างหนึ่งอย่างใดก็ดี ท่านว่าผู้นั้นทำละเมิด จำต้องใช้ค่าสินไหมทดแทนเพื่อการนั้น
มาตรา ๔๒๒
ถ้าความเสียหายเกิดแต่การฝ่าฝืนบทบังคับแห่งกฎหมายใดอันมีที่ประสงค์เพื่อจะปกป้องบุคคลอื่นๆ ผู้ใดทำการฝ่าฝืนเช่นนั้น ท่านให้สันนิษฐานไว้ก่อนว่าผู้นั้นเป็นผู้ผิด
มาตรา ๔๔๖
ในกรณีทำให้เขาเสียหายแก่ร่างกายหรืออนามัยก็ดี ในกรณีทำให้เขาเสียเสรีภาพก็ดี ผู้ต้องเสียหายจะเรียกร้องเอาค่าสินไหมทดแทนเพื่อความที่เสียหายอย่างอื่นอันมิใช่ตัวเงินด้วยอีกก็ได้ สิทธิเรียกร้องอันนี้ไม่โอนกันได้ และไม่ตกสืบไปถึงทายาท เว้นแต่สิทธินั้นจะได้รับสภาพกันไว้โดยสัญญาหรือได้เริ่มฟ้องคดีตามสิทธินั้นแล้ว
อนึ่งหญิงที่ต้องเสียหายเพราะผู้ใดทำผิดอาญาเป็นทุรศีลธรรมแก่ตน ก็ย่อมมีสิทธิเรียกร้องทำนองเดียวกันนี้
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